【1】推奨するルノルマンカード
ルノルマンカードをグループ研究する上で、まず最初にやらなければならないことがあります。
それは、使用するカードを統一することです。
世界各国のカード会社がさまざまな種類のルノルマンカードを販売しており、特に統一規格はありません。
そのため、それらのデザイン・大きさ・色合いはまちまちです。
さまざまなバリエーションのカードに触れるのも、ルノルマンカードの楽しみのひとつです。
しかし、こと共同研究となると、目の前に展開された慣れないカードを前に
「えーと、このカードは・・・タワーかな?」
「蛇は・・・どこだ?」
と36枚のカード全てについて逐一特定してからリーディングを始めることとなり、作業が進みません。
ルノルマンカードの研究と普及が進んでいない原因のひとつが、これです。
全員違うカードを使っている環境で共同研究するのは、全員が違う教科書を使っている教室で授業をするようなものです。
普段お気に入りのカードを使うのは問題ありませんが、こと共同で研究するとなるとカードは教材、テキストとなります。
教材が統一されていないと、研究はままなりません。
そこで日本ルノルマンカード協会では、6つの選定基準に基づいて各種のルノルマンカードを比較検討しました。
(1)サイズ
グランタブローは36枚のカードを展開するので、とても場所を取ります。
占いは生活と共にあるものです。
どこにでも持ち歩いて、占いたいときにスッと占えるコンパクトさが必要です。
タロットでいうミニサイズ、あるいはポケットサイズ以下の大きさであることが条件となります。
(2)価格
新たに買い増す方も出てくるので、なるべく安価で手に入ることが必要です。
2,000円以内、できれば1,000円以内が条件となります。
(3)入手
まだまだ店頭ではルノルマンカードをあまり見かけません。
Amazon、Yahoo!ショッピング等のネット通販サイトで容易に手に入ることが条件となります。
(4)見やすさ
36枚を展開して俯瞰するので、どのカードがどこにあるのか一瞥して分かるデザインである必要があります。
次に注意する必要があります。
①トランプ模様が大きく描かれているものはNG。
もともとルノルマンカードは、トランプ模様に独自の絵が挿入されているデザインだったため、トランプ模様が上半分位に大きく描かれているものがあります。
少し狭い場所で占うときなどは、カードの下半分に次のカードを被せていく感じで展開しないとスペースに収まらないことが多々あります。
トランプ模様を重視する占術の場合はそれでよいのですが、そうでない一般的な場合、トランプ模様ばかりが目立って一体何のカードなのか判別できません。
トランプ模様が大きく描かれているものは除外となります。
②ある程度、派手な色使いが望ましい。
大手ウェイト版タロットが「ややドギツい色合い」と言われながらも支持されているのは、色のメリハリが利いて一瞬でカードの意味を捉えやすいからです。
デザイン性を重視したモノクロ調のもの、淡いパステルな色合いのもの、シンプルな幾何学調のものが流行りではありますが、36枚を俯瞰してどのカードがどこにあるか直感的に分かる程度に派手な色使いであることが条件となります。
(5)人物カードが横を向いていること
現実の人間関係を俯瞰するルノルマンカードでは、男性(紳士)カード、女性(淑女)カードなど人を表す人物カードの目線の向きが非常に重要です。
しかし中には真正面を向いている人物が描かれているカードもあり、それだと人物カード同士の関係性が人物の向きで表現できません。
左右どちらを向いていることにするか、あらかじめ決めておくという手段もありますが、絵柄から直感的に読み取ることができないので、あえてそのようなカードを選ぶ理由はありません。
人物カードが横を向いていることが条件となります。
(6)著作権問題をクリアしており研究成果を共有できる
各出版社はカードの著作権を有しています。
展開したカードの写真を許可なくネット上で共有して検討することも、著作権侵害となります。
書籍の付録として付いているカードも同様です。
著作権問題をクリアしていることが条件となります。
以上6つの条件を満たすのが、AGM社の「Mystical Lenormand(ミスティカル・ルノルマン)」です。
コンパクトで、安価で、Amazon等で容易に手に入り、鮮やかな色使いのカードです。
海外版は送料込み700円台で買えることもあります。
日本語解説付き版に付いてくる1枚モノの解説シートは、36枚のカードの意味が首尾よくまとめられており秀逸ですが、一般的な用法と異なる部分もあり必須ではありません。
日本ルノルマンカード協会は、AGM社からサイト及び教材でのミスティカル・ルノルマン使用許可を頂いており、会員同士で研究成果を共有することが可能です。
【2】ウェイト版タロット
ルノルマンカードとタロットは表裏一体の関係にあります。
そのため、両方を用いる併用占術を使えることが望ましいです。
現在、世界的に主流なのがウェイト版タロットです。
アーサー・エドワード・ウェイト博士が制作したので通称「ウェイト版」と呼ばれていますが、英ライダー社から発売されたことから「ライダー版」と呼ぶこともあります。
賛否両論のあるカードですが、圧倒的に使い手が多いため関連書籍や解説サイトも多く、学びやすいということが最大の長所です。
「ウェイト版タロットでいうと、カップの7逆位置の・・・」と占い界の共通言語化している面もあるため、学んで損のないカードです。
併用占術ではルノルマンカード36枚に加えて、さらに多くのカードを使うことになるので、ミニ版(最も小さいサイズ)またはポケット版(次に小さいサイズ)の使い勝手が良いです。
日本ルノルマンカード協会は、AGM社からA.E.ウェイト版タロットのサイト及び教材での使用許可を頂いており、こちらもAGM社の「A.E.ウェイト タロット」が推奨カードとなります。
【3】マルセイユ版タロット
現在、タロットといえば1909年に発売されたウェイト版を指すことが多いですが、それ以前はマルセイユ版タロットが主流でした。
ウェイト版タロットからは失われた数多くの伝統的アルカナが隠されています。
その多くは印刷技術が未成熟だった時代に作られれたため、デザインや色合いは統一されていません。
そのため、カードが違えば意味合いも違うということが多々あり、これも共同研究の題材として用いる際にはカードを統一することが望ましいです。
フィリップ・カモワンとアレハンドロ・ホドロフスキーによって制作され、1997年に発売された「カモワン・タロット」は過去のマルセイユ版タロット遺産の集大成と言える秀逸なデッキです。
マルセイユ版タロットの推奨カードは「カモワン・タロット」となります。
細かい絵柄に数多くのアルカナが隠されているため、大きなカードで細部を観察する必要がありますが、カモワン・タロット独自のダイナミック・スプレッドは毎回展開する枚数が異なり占有するスペースが予測できません。
そのため、これも普段はミニ版の使い勝手が良いです。